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工学博士、再び学生になる

ドン・バッテン、地質学者 ターズ・ウォーカー博士に話を聞く

発行: 2009年6月29日 (GMT+10)
ターズ・ウォーカー、ブリスベン地質見学

ターズ・ウォーカー博士は三十年間、石炭火力発電所を運営する電力会社に勤めた。 その会社は水力発電機と大型ジェットエンジンで駆動する発電機も運転していた。 ウォーカー博士は、複合サイクル発電所、風力発電、原子力、炭層メタン、揚水発電、太陽光、他多くの技術を調査し、将来の発電所の設計立案に携わった。

彼は言う、「各家庭へのエネルギー供給に関わる技術的『奇跡』について、大抵の人はほとんど知らずに日々を過ごしている。 現代の発電所そのものが人間と動物の違いが計り知れないことを明白に表している。 進化論者は私たちは『サル』から進化したと主張しているが、聖書は私たちは神(創造主)のかたちとして造られたと言っている。 発電所を建設しているサルを見かけることはない。」

石炭と大洪水

発電所で焼却されている石炭はノアの大洪水を証している。 ウォーカー博士は説明する:

「分厚い炭層の存在は強力な証拠で、長い年月を信じる地質学者には問題だ。 彼らは、巨大な沼に生育した植物がその場で石炭になった、と憶測する。 沼の環境だったため、植物の腐敗が防止され、蓄積できた、と想像する。」

「しかし、石炭は普通、平らな層状をなして現れ、その層は幾重もの薄い石の層を含んでいることが多い。私が見た層は、薄い石の層があまりにも多いため、『縞ベーコン炭層』と呼ばれていた。 しかも、石と石炭の接触面は平らだ。 これは沼の環境よりも、植物と土砂が流水で横向きの方向に急激に堆積したことを示唆する ― フランス人科学者ガイ・ ベルトーが実験で示した通りだ。1

「ある鉱山では、水で摩滅した転石[大きな玉石]が石炭に混じって散らばっていた。 転石は機械を破損していた。 これらの転石は、多量の流水が植物をその場所に運び込んだことを指し示す ― ノアの大洪水で考えられることだ。」

少年時代の科学への興味

少年の時、ターズは物の仕組みに興味を持っていた。 父のガレージ作業場で科学の実験をした:

「父が私に化学実験セットをくれた。 私は化学物質を混ぜることを楽しんだ。 爆発はそんなに多くはなかったが、母は少し心配していた時もあった。」
「子供の時、私が聖書の物語を正確な歴史として受け入れていたのは、教師を尊敬していたからだ。 進化論のことを初めて知ったのは九歳の時で、子供用百科事典からだった。 それらの猿人の絵を見ていたときの、落ち込んでいく気分を思い出す。 それらの絵は、いかにももっともらしく見えた。 私は即座に、聖書の信頼性に対する影響に気付いた。」

ターズは十代の時にクリスチャンになった。 彼は言う:

「聖書は神(創造主)の言葉。 だから、聖書が事実であるのは当然、と思っていた。 ただ、創世記の創造と地球規模の大洪水の記事を読んだ時、創世記は地質学や天文学やその他の科学とどう関連するのか知りたかった。 オーストラリア内陸部で貝殻が発見されたと聞いた。 まさしくこれは、ノアの大洪水が実際に起こったことの証明なのでは? それなのに、私たちの教会のどの牧師もどうしてこれについて話をしないのだろう? 私はこの課題全体を棚上げし、新約聖書の事柄に集中することにした。」

「高校と大学の工学の課程においては、私は進化論に直面したことはなかった。 進化論が課題になったのは、他の人が質問をした時だった。 私は答えを伝えられるように用意すべきだと思った。 私は彼らが、聖書は真実で、神(創造主)は実際に存在することがわかり、主イエス・キリストを自分の救い主として知るようになって欲しいと思った。」

写真の提供: Vanessa FitzgeraldTas and Caitlin Smartt
地質見学中に石炭を調査している様子。 炭層(背景)は洪水の水が上昇している時に堆積された植物の瓦礫から形成された - 大洪水の「上昇」局面の出来事。
The Genesis Flood(創世記の大洪水)2という本を読むまで、満足感はなかった。 地球の歴史を理解するには、大洪水が鍵だと気付いたのは、ひらめきの瞬間だった。 心が躍った。 続いて、クリエーション・ミニストリーズ・インターナショナル(CMI)主催のセミナーに出席した。 嬉しかった。 すべてが明らかになった。 それらの本を全部買って、貪り読んだ。」

再び学生になる

「1993年に、妻と二人でニュージーランドを旅行した。 進化論や何百万年は至る所で提示されていた: 博物館で、観光名所で、バスの運転手からも、出版物にも。 私は居ても立ってもいられず、独自に開発した、聖書に基く地質学モデル(下図)についての要約を創造論国際会議(ICC)に提出した。3 それは受理されたが、その本文を書くために、地質学を『十分な水準まで修得する』必要があった。 職場の同僚の一人から 『地質学の正規の学位がないと、誰も見向きもしないよ』と言われた。 それで、地質学を勉強するために大学に戻った。」
「『工学の博士号があるのに、どうして科学の学位のために戻るの?』と他の学生たちから尋ねられたが、私はこの本格的な勉強を満喫した。 地質学の最新の考えを学ぶことが出来た。 この分野の専門家と交流できた。 そして、聖書の枠組みに対する確信を深めた。」

大洪水モデルは地質学の謎を解く

「毎週、地質学部の研究者が一人ずつ、自分の研究について講演した。 たまに、研究者が説明しづらい問題を論じることがあったが、聖書の大洪水でそれを説明できることが、私にはわかることが多かった。 私はある研究者に、彼の問題を解決できるアイデアがある、と伝えた。 彼は、それがどこから来ているものか承知していて、知ろうとはしなかった!」
「他の学生たちと野外調査をしていた時、私は時々激変や急激なプロセスの明らかな証拠を指し示した。 その都度、学生たちは、彼らの長い年月思考を保とうとして、たちまち新説を考案することがよくあった。 しかしながら、彼らは人生の意義と目的についての話し合いにも快く加わった。 この世界がそれ自体で何百万年かけて進化してきたのなら、人生には意義はないことになると、彼らは気付いた。 彼らにはそれが痛いほど分かった。 彼らの心の琴線に触れたのだった。」

放射性同位体年代測定の研究

写真の提供:マイケル・オードアメリカ合衆国モンタナ州中南部に位置するベアトゥース山地の硬い花崗岩の山頂は、陸上に流れていた莫大な量の大洪水の水でカンナがけされたように削られた ― 大洪水の「減退」局面の出来事。
アメリカ合衆国モンタナ州中南部に位置するベアトゥース山地の硬い花崗岩の山頂は、陸上に流れていた莫大な量の大洪水の水でカンナをかけられたように削られた ― 大洪水の「減退」局面の出来事。

学位(優等)の一環として、ターズは放射年代測定(これは地質学と聖書にかなり関係がある)を伴う研究プロジェクトを行った。 彼は当初、様々な年代測定方法の検証を計画したが、指導教授が戸惑い、「なぜこれらを検証したいんだ? 学部スタッフは放射年代測定の検証を支援しないよ。 彼らはそれは時間の無駄だと思うだろうね。」と言った。 それでも、ターズは放射年代測定の調査を含むプロジェクトを何とか組み立てた。

年代を測定する一つの「信頼できる」方法は、親同位体と娘同位体の比率をグラフにプロットすることで行う。こうしてできた「アイソクロン」線(等時線)は岩石の年代を表す、とされている。 ターズはさまざまな非放射性元素の比率グラフも、滑らかな線になること ― つまり、これらの線の原因としては、放射性崩壊以外の原因が必ずあること、を確認した。 これは、放射性元素に基づいた線が岩石の年代を表していると決めてかかってはいけない、という意味である。

私はウォーカー博士に、放射性同位体による年代測定法をどう思うか尋ねた。「放射年代測定は地質学者が岩石の年代を測定するための真剣な試みだ。 しかし、年代を直接に測定することができない。 岩石の中にある同位体を非常に正確に測定できるが、年代を計算するには、岩石がどのように形成されたか、岩石に何が入っていたか、岩石に対して何が起こったかといった過去に関する事柄を仮定しなければならない ― 岩石の歴史を仮定しなければならない。 算出される年代はこれらの仮定に左右される。」

「地質学者は放射年代測定の結果をありのまま受け入れてはいない。 結果が『不都合』な場合、彼らはその結果に合うように、別の歴史[ストーリー]をひねり出す。」
「年代がすでにわかっている物を放射年代測定したところ、間違った結果が出た事例は多い。 他の方法で測定した結果と一致しない場合も多い。」
「しかし、進化論に立つ地質学者がこのことで悩むことはまったくない、彼らにとっては結果を『説明』する他の解釈をこしらえる(つまり、仮定していた歴史を変更する)だけのことだから。」4

ノアの大洪水は地形を説明する

ターズは、創造論者による地質学の記事にさえ、地質時代区分表が引用されていることに気がついた。 しかし、大洪水とその区分表にある岩石とのつながりの説明が全くなかった。 ターズは「聖書通りの歴史から始めると、岩石に何が見られるだろうか?」と自問した。 その答えを見つけ出そうとして、彼は下記の簡潔な概念モデルを開発した。 このモデルは彼が住んでいた地域の地質図とうまく合って、地形をすっきりと説明することがわかった。

彼の1994年のICC論文は好評を博した。 それ以降、創造論に立つ他の地質学者も世界各地の地質を解釈するためにそのモデルを用いている。 進化論者の中にも、現場で実際の地質に適応できるという点でそのモデルの実力を認めている者がいる。 彼らはただ、史実としての聖書の大洪水をあざ笑う。

ウォーカー博士の地質概念モデルは聖書の歴史(左側の時間尺度)を現場で確認できる地質単位(右側の岩石尺度)に変換する
ウォーカー博士の地質概念モデルは聖書の歴史(左側の時間尺度)を現場で確認できる地質単位(右側の岩石尺度)に変換する。 詳しくは biblicalgeology.net を参照してください。(画像クリックで拡大)

信じていることが変わると見え方も変わる

ウォーカー博士はCMIのために地質見学を実施している: 「長い年月を信じる地質学者が岩石をどのように解釈するかを示す一方で、聖書の観点からは岩石がどのように解釈できるかを示すことを目指している。」 地質見学はかなり人気がある。

「私は一般の地質図や解説資料を使う。 私が人々に伝えることのほとんどはクリスチャンでない地質学者にも受け入れられるものだ。 私は激変や急激なプロセスの証拠を指し示すが、それは今日ではクリスチャンでない地質学者も同意する。 もちろん、彼らは私が提供する他の選択肢 ― 大局的観点からの解釈 ― には同意しないけれども。」

参加者の多くは、見学は景観の見方を完全に変えた、と言う。 彼らは今では、至る所に大洪水の証拠を見ている。

地質学の学位を1998年に終了した後、ターズはCMIで働き始めた。 彼は聖書に記録されている本当の歴史を人々が理解する力になりたいと思っている。 なぜなら、この本当の歴史は、福音をはじめとする、すべての教理の基礎を成すものだからだ。

参考文献・備考

  1. Julien, P.Y., Lan, Y. and Berthault, G., Experiments on stratification of heterogeneous sand mixtures, Journal of Creation 8(1):37–50, 1994; See <creation.com/layers>. 本文に戻る
  2. 1961年に出版されたヘンリー・モリス博士とジョン・ウィットカム博士による、創造論の古典的名著。 今日、創造論に立つ多くの主要な科学者に、考え方の転換点と捉えられている。 本文に戻る
  3. Walker, T., A biblical geologic model, 3rd ICC, Pittsburgh, Pennysylvania, pp. 581–592, 1994; biblicalgeology.net . 本文に戻る
  4. See Radiometric dating Q&A: <creation.com/dating>. 本文に戻る

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